各省交渉要求書(2007年4月9日実施)

 

 

厚生労働省(障害者自立支援法関係)

 

1.定率(応益)負担・自己負担制度を廃止し、障害者の生活実態に合わせた負担制度に改善を行なってください。とりわけ、障害児や重度障害者等複合的な支援(自立支援医療・補装具・地域生活支援事業等)を必要とする場合の負担が過大に生じないよう配慮してください。

 

2.障害程度区分認定等の仕組みを改め、障害者・児の社会的支援ニーズを的確に把握し、必要な支援が行えるような支給決定方式の開発を早急に行なってください。また、その間の支給決定に関しては、市町村の責任で、十分なケアマネージメント手法を用いた個別の支援計画に基づく支給決定を行なうようにしてください。

 

3.新規事業体系のサービス内容について、これまでの施設・事業所での支援内容を後退させることのないよう、支援内容やその成果・実績と問題点の把握を再度行い、「無認可作業所」の解消を含め、新規事業体系の抜本的見直しを行なってください。また、その事業実施における明確な基準を設け、その基準を円滑に実施できる報酬体系等の財政的裏づけを行なってください。その間の事業移行に関しては、旧事業の支援が後退することのないよう、報酬単価の見直しを行なってください。

 

4.就労移行支援事業の利用者が将来に不安感を持たないよう、訓練終了後の具体的方向を明らかにしてください。

 

5.地域生活支援事業・特例交付金事業に係っては、その実施状況を早急に把握し、地域間格差を是正できるためのガイドライン等を国で示すとともに、そのガイドラインに基づく実施に必要な十分な財政措置を行なってください。

 

6.障害児への療育支援・家族支援のための方策については、適正な制度のあり方について当事者意見を踏まえた慎重な検討を行なってください。その間の無理な制度移行(事業体系・程度区分認定方式・利用料負担等)については、凍結してください。

 

7.障害福祉計画の策定の実態を把握、公表すると共に、計画推進のための具体的施策の検討や財政措置を講じてください。

 

8.発達障害・難病・引きこもりの障害など、社会的支援を必要とする対象者に対して、自立支援法で位置づけられる支援が適正に受けられるよう対象枠の拡大を図ってください。

 

9.成年後見事業などの障害児者の権利擁護事業の拡充のため、後見人等への公的補助制度の創設などを行ってください。また、成年後見制度の活用に伴う参政権剥奪の問題を関係省庁との調整によって解消してください。

 

10.「介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議」の討議・検討状況と今後の方向について説明してください。また、介護保険制度への障害者施策の安易な「統合」はやめてください。

 

11.介護保険制度の見直し議論に当たって、障害者支援の特性を十分反映し、支援の後退につながらないよう、「介護」と「社会的支援」内容の相違点を明確にした議論を行い、適正な制度構築が行なえるよう配慮を行なってください。

 

12.介護保険に優先される65歳以上の高齢障害者において、「同居家族」がいることを理由にヘルパー派遣が打ち切られるといったケースがうまれており、これらの実態を調査し、サービスの後退・中止とならないよう対策を講じてください。

 

【付加すべき課題】

@ケアホーム・グループホームの報酬単価を抜本的に見直し、障害の重い人も地域で生活できる基盤整備を早急に進めてください。

 

A身体障害に加え、知的あるいは精神の軽度障害をあわせもつ人の生活の場として、ケアホーム利用を可能にしてください。

 

B障害者自立支援推進本部の検討内容を公表すると共に、「福祉から雇用へ」の流れを作り出していくための、一般企業等への指導を徹底してください。また、働くことの困難な重度障害者の日中における「自己実現の場」を事業体系の中で位置づけてください。

 

C福祉現場における支援者、ヘルパー等の確保が容易に行なえるよう、福祉労働者の身分保障制度を確立し、かつそうした人件費の支出が可能となる報酬単価等の見直しを行ってください。

 

D学齢期の障害児の支援策として、「障害児学童支援制度」(仮称)を創設し、家族の子育て支援策を自立支援法に位置づけてください。

 

E重度訪問介護の支給決定に関しては、2月26日付で事務連絡が出され、「例えば、短時間集中的な身体介護(見守りを含まない)のみが1日に複数回行われた場合に、単にこれらの提供時間を通算して3時間以上あるようなケースまでを想定しているものではない」としていますが、一部大都市では午前1時間・午後2時間30分のサービス利用者に対しても重度訪問介護の対象として支給決定を行っています。1日を1回3時間以上に連絡内容を変更してください。

 

F定率(応益)負担制度の導入にあたり、障害者の所得保障の確立が議論され、附帯決議でもその重要性が強調されました。このことが現実の法制度で具体化されるまで、無年金障害者の福祉・医療サービスの利用における定率(応益)負担を凍結してください。

 

 

厚生労働省(障害児者・患者の医療制度関係)

 

1.応益(定率)負担のしくみ、食費負担、所得制限を撤回し、負担能力に応じた公平な制度に戻してください。

 

2.自立支援医療(育成医療、更生医療)の適用範囲を拡大してください。とくに先天性疾患児の術後の内科的治療にも適用できるようにしてください。また、更生医療については、育成医療同様、「放置すれば将来障害が残ると想定される治療」にも適用し、その場合、身体障害者手帳がなくとも適用できるようにしてください。

 

3.心臓移植後の免疫抑制療法について、移植した施設以外の病院で治療を受ける場合でも、自立支援医療を適用できるようにしてください。

 

4.「重度かつ継続」の対象範囲を拡大し、先天性の重症心疾患で大人になってから再手術を行う場合など、断続的にかなり高額の医療費がかかる場合にも適用してください。また、「重度かつ継続」対象者の食費負担をなくしてください。

 

5.自立支援医療(育成医療)については、教育費などの子育て費用を勘案し、負担上限を恒久化するとともに、上限額を軽減してください。

 

6.負担上限額の基準(市町村民税所得割2万円、20万円)を、税源移譲による住民税の引き上げに伴って、適正な基準まで引き上げてください。

 

7.自立支援医療(更生医療)にも負担上限を設けて、医療費が高額になっても公費の給付ができるようなしくみに改善してください。

 

8.生活保護受給者の人工透析に係る医療費について、支給認定および指定自立支援医療機関の指定がすみやかに行われるまでの間は医療扶助で引き続き対応できることを徹底し、移行にあたっては患者の意思を尊重し、柔軟に対応するようにしてください。

 

【医療保険・その他】

9.70歳未満の医療保険の給付率を見直し、すみやかに8割まで引き上げてください。当面、緊急の少子化対策として義務教育終了までの子どもの給付率を8割としてください。

 

10.高額療養費の自己負担限度額を引き下げてください。医療費の多寡による加算分を廃止し、定額にしてください。4月からの現物給付化にあたっては、無条件ですべての患者に対して実施してください。

 

11.混合診療の導入はやめてください。保険外併用療養費は、差額ベッドなどの選定療養は縮小する方向で指導を行い、必要な医療については患者が保険外負担をしなくて済むようにしてください。

 

12.自治体で行われている重度障害者(児)医療費助成制度、乳幼児(こども)医療費助成制度を国の制度とし、国庫補助を行うなどの施策を実施してください。無料化、現物給付の実施を理由にした国民健康保険の国庫負担分の減額措置はやめてください。

 

13.診療報酬改定に伴うリハビリの日数制限を撤廃し、個々の患者の必要性に応じて行えるようにしてください。

 

 

厚生労働省(障害年金関係)

 

1.障害者自立支援法成立にあたっての参議院附帯決議「障害者の所得の確保に係る施策のあり方の検討を速やかに開始し、3年以内にその結論を得ること」について、その進行状況を明らかにしてください。

 

2.学生・サラリーマンの妻・在日外国人等の無年金障害者に対する救済を早急に行ってください。また、今後無年金障害者を生み出さないためにも、すべての国民に全額国庫負担による最低生活を保障する年金制度を創設してください。

 

3.障害基礎年金を所得保障という観点としてきちんと位置づけ、障害者自立支援法による利用料負担増の影響を考慮しながら、生活できる額にまで引き上げてください。また、支給額の引き下げは絶対におこなわないでください。

 

4.障害者の就労や生活状況などの実態に即し、個々がおかれた社会的状況も含めた認定が行えるような認定システムの改善を検討してください。また、現在の医学レベルに見合った認定が行われるよう、抜本的な認定基準の見直しを行ってください。

 

5.障害年金の「子の加算」は受給権発生後に生まれた子どもにも加算してください。

 

6.年齢による失権をなくし、65歳を過ぎても障害年金が受給できるようにしてください。

 

7.20歳前障害者の所得制限を撤廃、もしくは大幅に緩和をしてください。

 

8.20歳前障害者が厚生年金加入後に障害が重くなって離職した場合などについては、支払った厚生年金の掛け金が障害年金額にすぐに反映されるような仕組みに改善してください。また、前発障害に係わる「差引認定」については、障害種別で一律に決めるものではなく、個々の実態に応じて支給されるよう、そのあり方を検討してください。

 

9.制度改正により、老齢厚生年金、遺族厚生年金と障害基礎年金の併給ができるようになった障害者の状況を明らかにしてください。また、すべての障害年金受給者にわかりやすく周知徹底してください。

 

 

厚生労働省(障害者雇用関係)

 

1.障害者自立支援法の施行にあたり、福祉的就労から一般就労への促進として、「訓練等給付」 が提供されようとしていますが、実際にはなかなか進まない現状にあります。貴省・担当としての今後の具体的な方策について説明してください。とりわけ、地域障害者就労支援事業の推進状況を説明してください。

 

2.ジョブコーチ支援・トライアル雇用(障害者試行雇用事業)の実施状況について説明してください。また、それぞれの事業の対象者数等を大幅に増やしてください。ジョブコーチについては、大幅な人員増を行ってください。また、トライアル雇用については、継続した雇用につながるまで期間の柔軟化をはかってください。

 

3.「障害者就業・生活支援センター事業」の実施状況を説明してください。また、この事業の設置箇所数を大幅に拡充してください。

 

4.平成19年度予算において、ハローワークによる相談・支援体制の充実・強化として、「障害者専門支援員」などの専門的な知識・経験を有する者を常勤の専任職員として配置するとともに、その人員を大幅に増やすようにしてください。また、医療や教育や福祉機関などとの連携も重視しつつ、あらゆる障害種別に応じた適正な就労援助ができるよう、機能の向上をはかってください。

 

5.障害者の雇用の促進等に関する法律に対する要望について

 

@法定雇用率を引き上げてください。また法定雇用率未達成企業に対する指導を強化する法的措置を取ってください。

 

A精神障害者の雇用義務を明確に位置づけてください。

 

B雇用納付金制度は、その額を大幅に引き上げてください。少なくとも、納付金が法定雇用率を安易に免除されるような現状をあらためるためにも、最賃法に基づく最低賃金と同額となるよう増額してください。

 

C各種助成金制度は、助成期間の大幅な延長、対象事業所の増設等をすすめてください。また手続きの煩雑さの改善など、事業所にとっても障害者にとっても、利用しやすいものになるよう改善してください。

 

D現に雇用されている障害者の権利が守られる法的措置を設けて下さい。「嘱託採用」「パート採用」等によって、賃金・労働条件が劣悪になっているケースが多いことから、正規職員としての採用にするよう指導を強めてください。

 

E最低賃金法第8条の障害者適用除外規定をなくしてください。

 

 

国土交通省(住宅局・道路局関係)

 

1.「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」成立後の実施状況を説明してください。とりわけ、私どもが長年要望してきた次の事項についての実施状況を説明してください。

 

@新築だけでなく、既存の建物の改造状況。

 

A歩車道分離の明確化とともに、歩道の段差解消・視覚障害者誘導用ブロック等の正しい設置状況。

 

B官庁施設とともに、県庁・市役所など公的な施設を障害者が安心して利用できるための関係機関の改造状況。とりわけ点字ブロック、障害者用トイレ、エレベーターなどの設置状況。

 

C公的施設やスーパー等の駐車場に障害者のための「優先駐車場」の設置状況。

 

2.「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」においては、市町村が国の「基本方針」に基づき「重点整備地区」を定め、基本構想を策定することになっていますが、市町村における策定状況を説明してください。

 

3.障害者が安心して生活できる公営住宅を大量に建設してください。現在までの建設・入居状況とともに、今後の建設計画等を説明してください。

 

4.有料道路の割引制度を拡充するよう、関係事業者への指導を強めるとともに、国としての財政支援をおこなってください。また次の事項を早急に実施してください。

 

@割引の対象を制限するのでなく、精神障害者をはじめすべての障害者と介護者を対象としてください。

 

A介護者割引にあたっては、車のナンバーや車種などの制限をしないでください。また小規模作業所をはじめ社会福祉施設の利用者を乗車させた車も割引の対象としてください。

 

 

国土交通省(鉄道局等関係)

 

1.「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」成立後の交通バリアフリー化の実施状況を説明してください。とりわけ、次の事項の状況を報告してください。

 

@知的障害者・精神障害者に対する配慮

 

A公共交通機関における施設・設備・車両のバリアフリー化の状況

 

B既存の施設・設備・車両に対するバリアフリー化の状況

 

Cエレベーターの設置状況

 

D視覚障害者の駅ホームからの転落事故に対する事故防止のための安全対策

 

 

2.鉄道死傷事故の防止策を強力に推進してください。

 

@障害者事故の実態を把握するとともに、再発防止のための方策を明確に示してください。

 

A鉄道死傷事故に有効な可動式ホーム柵の設置を推進してください。既存路線等、可動式ホーム柵の設置が困難な場合には、当面、転落検知マットや非常停止ボタンの設置、避難場所の設定等を推進してださい。

 

B乗務員及びホーム要員を削減しないよう、強く事業者を指導してください。

 

3.公営バス・民営バスの利用にあたり、ノンステップバスの導入をすすめるよう指導を強めてください。また国からの財政支援も十分におこなってください。

 

4.交通運賃割引制度を拡充するよう、JR・民間鉄道事業者の指導を強めるとともに、国としての財政支援をおこなってください。とくに次の項目を早急に実施するようにしてください。

 

@制度から除外されている精神障害・てんかん・難病などの患者・障害者を割引の対象にしてください。

 

A100キロ制限を早急に撤廃するとともに、特急・寝台料金も割引の対象としてください。

 

B航空運賃の割引制度を改善するよう国としての指導を強めてください。とりわけ、障害者に対する割引率を五割に引き上げるとともに、12歳未満の障害児を介護する者にも割引を適用するよう指導してください。

 

CJRの指定券を旅行事業者の窓口でも購入できるようにしてください。

 

 

文部科学省(障害児教育等関係)

 

1.障害児の排除につながる、全国一斉学力テストを中止してください。

 

2.障害児学校・学級での、全国一斉学力テストを中止してください。とりわけ、障害児学校の実態を踏まえない、全児童生徒を対象とする生徒質問紙調査の実施方針を見直してください。

 

3.マンモス養護学校解消、教室不足など劣悪な教育条件改善のため、障害児学校の適正規模、教室等施設整備、通学時間についての国の指針、および深刻な実態解決に向けた文科省としての方針を明らかにしてください。

 

4.障害児学校のセンター的機能に必要な教員を配置してください。通常学級在籍児に対する障害児学校からの安易な巡回指導に文科省として歯止めをかけてください。

 

5.障害児学級(固定式)を増やし、充実してください。

 

6.「軽度」発達障害児に必要な教育の実現のため、すべての小中学校に通級指導教室を設置し、教員を配置してください。

 

7.子どもたちの成長に大きな教育的役割をはたしている寄宿舎の教育を、すべての必要な障害児に保障してください。そのための寄宿舎指導員を配置してください。

 

8.教員の移動に当たっては、画一的・強制的な異動をやめ、教育の継続性・専門性に十分配慮してください。

 

 

総務省(選挙等関係) ※交渉開催は延期

 

1.「ALS患者投票権裁判」判決やその後の法改正での国会の附帯決議で指摘された「投票所に行けない問題」「投票方法の改善」などを積極的に受けとめ、「巡回投票」「投票方法の選択制」等の抜本的改善をすすめてください。

 

2.車椅子や体の不自由な人のため、段差解消など投票所のバリアフリー化と投票記載台などを改善し、障害をもつ人が投票しやすくしてください。

 

3.すべての政見放送に手話通訳・文字情報をつけてください。FAXやメールでの情報交換等を自由にしてください。候補者の手話通訳は、候補者が費用を負担する「運動員」としてではなく、公費で保障してください。

 

4.視覚障害者が要望している点字等広報の発行、最高裁裁判官国民審査の投票用紙の改善をしてください。また、点字の投票用紙に選挙名を記入することを全選挙管理委員会に徹底してください。

 

5.成年後見制度の活用に伴う選挙権の剥奪を即刻改めてください。この問題は、法務省(民法規程)と成年後見制度の活用を推進している厚生労働省、そして総務省(公職選挙法第11条)がそれぞれ絡んでおり、問題解決の方向性が不明のままになっています。総務省として、「成年被後見人」の選挙権剥奪の状態を改善するとともに、関係省庁との調整をすすめてください。