障全協はこうして誕生しました!


●障全協結成前の障害者施策と障害者・家族

 わが国の障害者施策は、敗戦後の日本国憲法制定を受け、身体障害者福祉法の公布(1949年)にはじまり、精神薄弱者福祉法・身体障害者雇用促進法の制定(1960年)など、1960年代までには関係法の一応の制定をみていました。
 しかし、これらの法律は、障害者・家族の願いにそったものとはいえず、きびしい生活を根本的に改善するものとはなりませんでした。
 とりわけ、権利として福祉・教育などを受けることが明記されず、またその対象も一部の障害者に限定されていたことから、多くの障害者が法律から除外されていました。
 こうした貧しい障害者施策の中で、障害者は学校で学ぶことも、生きがいをもって働くことも、自由に外出することもできず、結局は親・家族にその責任と負担がおしつけられていました。


●障全協結成と人権保障をかかげた運動の出発

 障害者・家族の人権を無視した状況を1日も早く改善させようと、全国各地の障害者・家族、関係者が運動に立ち上がり、障害別・地域別の組織を結成し、国・地方自治体に対する働きかけを強めていきました。
 しかし、全国的に注目された朝日訴訟の不当な最高裁判決(1967年5月)にも示される通り、激しい社会保障攻撃の中で障害者施策を抜本的に改めさせるには、個々の組織の力だけでなく、障害の違いを乗り越え、共通する願いを共同の運動によって実現させていく運動と組織が必要になりました。
 こうした中で、それまでの多くの障害者・家族、関係者の運動の積み重ねと熱い期待をになって、1967年12月4日、「第1回障害者の生活と権利を守る全国集会」を東京で開催し、障全協は結成されました。
 「生活と権利を守る」は、まさにその当時の障害者・家族のおかれた状況を象徴したものであり、先に結成された研究団体の全国障害者問題研究会(全障研)とともに、わが国における障害者の人権保障を真正面にかかげた運動の出発であったといえます。


生活と権利を守ってきた障全協のとりくみ

●4つの権利の旗を高くかかげて

 障全協は結成以来、障害者の「生きる権利」「学ぶ権利」「働く権利」そして「政治参加の権利」の4つの権利の旗を高くかかげて、運動にとりくんできました。
 その後、障害者の権利保障・人権保障の課題は、「国際障害者年」「国連・障害者の10年」などの国際的な動きにも大きく影響されながら、多くの障害者・家族と関係団体の共通の課題になりつつあります。
 障全協は、「恩恵」でなく、「権利」としての施策の拡充を訴え続け、その先頭に立って運動をすすめてきました。                           


●生きる権利の保障を施策の基本に!

 「自立して生活したい!」「親なきあとの不安の解消を!」という障害者・家族の切実な願いを実現するためには、生きる権利の保障を施策の基本にすえさせることが大切です。
 障全協は結成以来、この権利の保障を中心的課題にしながら、年金・手当、在宅・施設福祉、医療制度、あるいは住宅・まちづくりなど、諸制度の創設・拡充に全力をあげて運動をすすめてきました。
 また、堀木訴訟、上野裁判など、障害者の生存権や移動・交通権などをかかげた裁判闘争を積極的に支援してきました。


●すべての障害児に教育権の保障を!

 障全協は、「すべての障害児に教育権の保障を!」と結成以来、重点的に運動をすすめてきました。
 障害者と家族、教職員は、全国各地で「不就学児をなくす会」を結成し、ねばり強い運動を展開しました。
 1974年度から全国に先駆けて、東京都で障害児の希望者全員入学を実現。そして、1979年に、戦後30年以上も放置されてきた養護学校教育の義務制を実現させました。
 最近では、通級指導の制度化や高等部の増設・訪問学級の設置など、障害児・家族の願いにそった運動を教職員とともに展開し、貴重な成果をあげてきています。


●希望するすべての障害者に働く場の保障を!

 障全協は、「希望するすべての障害者に働く場の保障を!」と、障害者の働く権利の保障を求めて運動をすすめてきました。
 実効性のない身体障害者雇用促進法の改正では、1976年に「身体障害者雇用促進法改正をすすめる会」の結成をよびかけ、50団体を超える組織で運動を展開しました。
 その結果、身体障害者の雇用義務化と雇用率の引き上げ、未達成企業の公表を初めて実現させることができました。
 最近の法改正では、知的障害者の雇用義務化(1998年7月実施)とそれに伴う雇用率の引き上げを実現させました。
 また、銀行協会に雇用改善を申し入れたり、経団連に要請するなど具体的な運動もすすめてきました。


●政治参加は主催者として当然の権利

 障害者の政治参加および参政権保障は、国の法・制度上、全く無視された現状にあります。
 参政権は、主権者としての当然の権利であり、最も大切にされなければならない権利であることを障全協は長年訴え、運動にとりくんできました。
 現状では、段差などで投票所が使いづらい問題や不在者投票制度が対象を限定し、手続きも複雑である問題など、障害者にとって投票行為そのものが困難な状況にあります。
 そのうえ、点字の選挙公報が発行されていないことや立会演説会の廃止、政見放送に手話通訳が認められないことなど、視覚障害者・聴覚障害者の「知る権利」が著しく制限されています。


国際障害者年から「障害者プラン」策定へ

●施策推進にむけた新しい時代を切り開く 〜多くの障害者・家族の運動があったからこそ〜

 「国際障害者年」(1981年)、続く「国連・障害者の10年」(1983年〜1992年)以降のわが国の障害者施策をめぐっては、「障害者施策に関する新長期計画」の策定(1993年3月)とあらたな障害者の10年の設定、障害者基本法の成立(1993年11月)、そして「障害者プラン」の策定(1995年12月)という、これまでにない施策の展開がみられ、多くの障害者・家族、関係者の期待を高めています。
 こうした一連の動きは、障害者の人権保障を求める国際的な動向とともに、障全協をはじめとした多くの障害者・家族と関係団体の運動があったからこそ実現できたものです。また、わが国の障害者施策にとって画期的なことであり、施策推進にむけた新しい時代を切り開くうえで見逃せない動きとなっています。


●国際的な障害者の人権保障の高まり

 国連は、「国際障害者年」、「国連・障害者の10年」以降も、「障害者の機会均等化に関する基準規則」の採択(1993年)や、国連アジア太平洋経済社会委員会の総会で「アジア太平洋障害者の10年」(1993年〜2002年)の決議など、いっそうの施策推進をよびかけました。
 各国政府においても、「障害をもつアメリカ人法」(1990年)の成立以降、オ−ストラリアなどいくつもの国々が「障害者差別禁止法」を制定するなど、具体的なとりくみが展開されてきています。
 こうした動きは、障害者の人権保障が国際的な課題になりつつあることを示しています。
 また、わが国政府にとっても軽視できない動きとなっており、障害者基本法の成立や「障害者プラン」策定の大きな背景となっています。
 障全協は結成以来、障害者の人権保障を求めて運動をすすめてきました。今日の国際的な動きは、これまでの障全協の運動の正しさを改めて証明しています。


●あらたな10年と「障害者基本法」「障害者プラン」

 あらたな10年の最初の法改正で、「障害者基本法」(旧・心身障害者対策基本法)が成立しました。
 障全協は、日本障害者協議会の加盟団体として共同の運動を展開し、多くの課題を残しながらも従来にない改正を実現しました。
 この基本法では、法律の対象から除外されていた精神障害を位置づけさせたこと(附帯決議で自閉症・てんかん・難病も)をはじめ、法律の目的と理念に「参加」という視点をはじめて明記させました。
 そして、何よりも今日の障害者施策の中心的な課題である「障害者プラン」の推進と「市町村障害者計画」の策定も、この基本法に基づくものです。
 また、「障害者プラン」は、関係省庁がかかわる総合的なプランとして、しかも施策上初めて数値目標が設定されるなど、今後内容を拡充させる課題はありつつも、施策推進にとって画期的なものといえます。


障害者運動に求められる課題と21世紀への展望

●21世紀が障害者の人権の扉を大きく開く時代へ 〜どんなに攻撃が強められようと、それを許さない運動を〜

 障全協は結成以来、さまざまな困難を乗り越えながら、障害者・家族の生活と権利の守り手として運動にとりくみ、その役割を果たしてきました。
 障全協の運動は、障害者・家族の生活を一歩一歩着実に改善し、たくさんの成果を築いてきました。
 この間の障害者基本法の成立、「障害者プラン」の策定も多くの障害者・家族と関係団体と共同した私たちの運動があったからこそ実現できたものです。
 今日、政府の社会保障・障害者施策に対する抑制・切り捨て攻撃がますます強められようとしています。
 しかし、どんなに攻撃が強められようと、それを許さない運動が弱まることはありません。
 障全協のこの間の歩みは、そのことを事実をもって証明しています。
 障全協は、目前に迫った21世紀を、障害者の人権の扉を大きく開く時代にするために、結成以来の「生きる権利」「学ぶ権利」「働く権利」そして「政治参加の権利」の4つの権利の旗をさらに高くかかげて運動をすすめます。


●負担と犠牲をおしつける危険な動き

 今日の障害者・家族をめぐる状況は、「障害者プラン」策定に伴うこれまでにない施策推進の有利な条件が広がっている一方で、「財政構造改革(法)」「(地方)行政改革」をおしすすめ、これまで以上に負担と犠牲を障害者・家族にも押しつけようとする危険な動きも強まっています。
 とりわけ、「財政構造改革」は「一切の聖域なし」に予算を削減するもので、ささやかな障害者関係予算も抑制・切り捨ての対象としています。
 こうした動きは、「障害者プラン」に逆行するものであり、プラン策定の積極的な意味があいまいにされ、従来通りのとりくみに終わらせようとする動きとなっています。
 障全協は、これに断固反対し、国民的な共同行動に参加して運動をすすめています。


●障害者・家族の人権侵害の実態を告発し、その解決を求めて

 今日、多くの障害者は、最低賃金法など国民共通に享受すべき法・制度から障害があることを理由に除外され、また障害者のための法・制度であるにもかかわらず依然除外され続けている現状にあります。
 とりわけ、障害者関係法・制度では、障害別・等級別・年齢別などによって、その対象が制限され、また障害者本人の収入だけでなく、親・家族の収入からも負担を求めるなどの問題が依然解決されない状況です。
 こうした問題は、単に法・制度の不十分さというだけでなく、障害者の人権保障があらゆる分野で欠落していることに最も大きな原因があり、いっこうに改善されない問題として今日に至っています。
 こうした時、障害者・家族の人権侵害の実態を告発し、その解決を求める障全協の役割がますます重要になっています。
 障全協は、施策推進を願う多くの障害者・家族、関係団体との共同を強め、また社会保障の拡充を求める共同行動にも積極的に参加し、運動をすすめます。


組織・構成

 障全協は、障害者団体と関係団体の全国組織14と、32都道府県の地方協議会で構成され、会員は約15万人です。
 年1回の総会および役員会(幹事会・常任幹事会)で会を運営し、総会の他にも、中央集会や活動者学習会などを開いています。
 機関紙誌(月刊)として、「障全協新聞」「障害者問題情報」を発行しています。


事務局の所在地

〒169−0072
東京都新宿区大久保1−1−2 富士一ビル4階
 TEL 03−3207−5937
 FAX 03−3207−5938


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